おっぱい/れつら
トの合間に生えた大根に
(たしか大根のはずだが)
みょうに腹が立ってむしりとった
勿論
僕にも誰かを愛したことはあった
けれどそれもごくまれな話
何度か体を重ねただけの人間や
血や社会や野心が分けた いくらかのグループ
誰かの口づてで出会った聖人や悪人
そういうのを除けばいったい何人残るだろう
節目節目で手渡してきた花は
いつも僕が摘んだものではなかった
僕ではない誰かがどこかで
水をやったり探し回ったりしていて
そいつらをかざりたてるところまでやらせておいて
それでいて まるでそれが
自分の断片であるかようにして
愛するひとに手渡してきたのだ
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