【小説】影市場/なかがわひろか
市場は作られた。
お互いが気に入った者同士、しばらくの仮契約を結び、その後双方の合意の元に、新たに宿主と影として連れ添っていくことになる。
影の検査は徹底される。
殺人事件で追われている犯人の影や、死期の近い宿主に宿っていた影はリストから排除される。
そういった影たちは後々問題を起こしやすい。
影は宿主がいなければ動くこともできない。
それ故にどうしても宿主側に重点が置かれた市場となる。
宿主がやってきたら、影たちは一斉に声を張り上げ、自分たちを売りに出す。
特に自分の年齢に近い宿主候補が来た場合は限界まで声を出す。
統計から見
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