望みが薄い/黒川排除 (oldsoup)
も、ダブルサイズのベッドにたった一人で置き去りにされていて、鏡には口紅でグッバイと書かれているのだが、残された上着からは確かに隣に住んでいる婆さんの臭いがするので、さして残念という訳でもないにしろ、少しだけ開いたカーテンの隙間からは、長く鳴らされたクラクションとともに去っていく霊柩車が見えて、前の日に買わされた得体の知れない壷に遺骨を詰めなければならないとは思うだろう。
さっきまでは河川敷に座って煙草を吸っていた。今は立ち上がり、河川敷を背に、川を眺めながらキャンディーを舐めている。横に座っている小学生男子と交換したのだ。少年は悪い遊びを手に入れ、わたしは少年の唾液を手に入れる。背後からは
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