望みが薄い/黒川排除 (oldsoup)
いるだろう。きっと崖から転落するだろう。また崖から連絡もするだろう。いつも寝癖でぐちゃぐちゃな髪の毛がストレートヘアーになるのを見て驚くだろう。針も無いのにレコード盤が高速回転しているだろう。右から左へ移動するのに、およそ三年かかる通路が建設途中であるだろう。背の丈もあるほどの草原の中で、ネコジャラシが勝手にじゃれているだろう。たとえ下山したとしても、中途であたらしい登山道を見つけ、かつ見つめ、かつ魅了され、しばらくぼんやりするだろう。
仮にその中が夢だと気付けたとして、急いで覚めるよう脳に命令を出し、官僚的緩慢さでそれが伝達を始め、終了し、まぶたをゆっくりと開いたとする、開いたとしても、
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