望みが薄い/黒川排除 (oldsoup)
なものを書き連ねた書類の束を小脇に抱えながら、ただ笑っていた。そしてもう一度去れと言う。きっとじぶんの頭頂部のことを気にして、しかも永遠の冬が訪れるであろうことを予測して、そんなことを言っているのだろうと哀れんだ。わたしは何もかもを許す気になった。もう一度言ってみろと言ったら、もう一度言いそうだったので殴り飛ばした。
きっと下山するだろう。蔓草が異常に伸びた沼地があって、平面に切り開かれた牛乳パックが腐敗しているだろう。少女がいて、燃える家を見つめていて、泣いていて、袋をかぶっていて、見えないだろう。またその袋の目の部分に穴を開けてあげようとするだろう。母さんが夜なべをして手袋を編んでいる
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