ディズニーとマクドナルドと劇団四季に命を狙われる男/カンチェルスキス
察してもらったことなんて、オレ‥‥‥今までなかったよ、あんたのこと、一生忘れないよ!」
運転手は言って、窓枠に足をかけたかと思うと、その姿はすぐに見えなくなってしまった。
アスファルトで何回か転ぶと,最終的にはバレーの必死の回転レシーブを決めた後のポーズのまま、しばらくうっとりしていた。
姿が遠くなる。運転手がおれに向かって叫んだ。
「ごおつくばって、ホイホイ!」
おれも叫び返した。
バカみたいだった。しかし、友情などというものは、常にバカそのものなのだ。真の友情がこれで成立した。ような気がした。もちろん、おれがあの運転手に会うことは二度とないが。というのも、このバス、一度引
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