ディズニーとマクドナルドと劇団四季に命を狙われる男/カンチェルスキス
 
なんてオレにとってはどうでもいいんだよ。オレが今やるべきなのは、今すぐバスから下りて、馴染みでもない床屋の椅子に座って、『耳はちんと出しといてくれよ!いいや、前髪はどうでもいんだよ!耳は出しといてくれ、耳は!』って店のオヤジに言うことだけなんだ」
 バスは市役所前の交差点を右折していた。やつにとって馴染みでもない床屋『スイカがなくても俺はちゃんと五十一歳になれる』が見えてきた。
 おれは何も言わず窓を全開にした。友が困ってるときはたぶん、助けてやるものだ。
「行くんだろ?」
 おれは言った。
 運転手はおれの顔をじっと見た。
「オレのことを察して‥‥‥こんなふうに誰かに自分のことを察し
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