連鶴/悠詩
 




叢雲(むらくも)を

睨まひて足踏み出だす

業火を吐きて去り行くは

忌みじくも飛ぶ鉄の鶴

物の怪放つ一声に

貴(あて)なる煤や徒(あだ)となる



鉄の鶴

誰(た)に習ひしか忘れしも

馬手(めて)と弓手(ゆんで)に刻まれし

忌々(ゆゆ)しき鳥の影形

盲(めしひ)となりぬ心にや

神の言の葉聞こえける



階(きざはし)を

登れど現(うつつ)の冥府なり

右手(めて)と左手(ゆんで)の爛れしに

黒き大地と黒き雨

蛍ぞと
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