茫然の櫃/黒川排除 (oldsoup)
 
いは毛布が足りなくて泣いている子供
家計簿に呪文を書き込みながら泣いているおんな
仕事にいく振りをして公園で椅子を組み立てながら休憩したいと思った時に座れる椅子が無いことに気付き一人でジャングルジムに腰掛けながら泣いているおとこ
そのために必要と思われない部分
いらない影が用いられるなら本望だと思う
実際
今まで千切ってきたパンの数
時々はスポンジだったその数を
思い出せるほど若々しくはないし
忘れるほど年老いてもいない
覚えているほど不幸ではないし
知らずにいるほど幸福でもない
その事実だけが持ち上げてきたほどには
居場所を探していたと考えるのだ
その居場所が廃墟だと
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