無題/hon
 
に何度か叩きつけると、死骸は原形を留めずぼろぼろになった。俺はそいつらを山側の藪の中に放り込んだ。
昂ぶり興奮した心持ちのまま洞窟に帰ると、老人ジグが血を流して床に倒れていた。目を虚ろに見開き既に息絶えていた。


老人は胸を剣で一突きにされていた。あの五人の兵士たちがやったことだが、俺の昨晩したことの帰結であることは明白だった。
あいつらめ、と俺は口惜しく思った。だが、これは潮時かも知れぬと考えた。俺は安全で食うに困らず、変化のないここでの生活というものに、次第に鬱屈した感情を覚えはじめていたところだった。
物言わぬ死体を前にして、すでに俺の興奮は静まっていたが、もし、奴らが殺してな
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