無題/hon
婚に暴行をはたらいたのはお前か、といばりくさって訊いてくる。
「だったら、どうした」
あれは王の許婚だったのかと思いながら、連中を挑発的に睨み返してやった。
兵士たちは無言で剣を抜いた。刃が鞘と擦れて甲高い金属音が残響した。たちまち場に冷やかな殺気が漲った。全身の血が沸き立って、ハッとなった。体が勝手に動いていた。
俺は瞬くまに二人を屠っていた。一人は首の骨を捻り、別の一人は頚動脈に噛み付いて、肉ごと血管を食い破った。
後の三人は一目散に逃げていった。
そのとき俺は確かに体中の細胞が歓喜に打ち震えているのだった。
うううおお……おおおおおおううう…………。
叫びながら死骸を大地に何
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)