無題/hon
 
食った。
すると体が小さくなって体毛が抜けて、俺は人間のような見た目になった。


そのまま近くの町まで行くと、そこである老人に会った。俺の性質は人間社会での生活にふさわしくないだろうということで、彼の家へ行き、一緒に住むことになった。
老人の家は町はずれの洞窟にあった。洞窟は斜面の中腹にあり、入り口へは足場を左右に打ち込んで並べた長い棒を立てかけて上っていく。簡素なほとんど天然の住居であったが、長年かけて老人が掘り進めたという内部は意外に奥行きがあり、俺はそこで雨風のしのげる生活の便利さというものを知った。
また、食料の備蓄さえ尽きなければ、日々飢えることもなかった。
備蓄が尽きれ
[次のページ]
戻る   Point(1)