その海から(51〜60)/たもつ
海がひとつ発見された
大きくも小さくもなかった
夏が始まる頃
中村さん
次男になってた
泣きたい人は
泣いてかまわなかった
54
何よりも助走を
愛した父親たちは
助走の途中で
自らの心臓を止めた
薄いパラフィン紙が残され
魚たちの休憩所になった
良く見れば
数えることもできた
55
二酸化炭素に描いた夢を
団体職員たちが
追いかけていく
地表の近くは
ハンガーの匂いで
賑わい、そして
小さすぎて
誰にも聞えることはなかった
つぼみも
誤解も
56
ヒグラシ色のバスが
人と同じくらい
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