メッセージ(稿6/ワタナベ
出す、筆で塀から上を塗りつぶす。
(耳の奥に響く声)
並べられたデッサンの端っこに、画鋲で画用紙を貼り付ける。
突き当たりの階段を三階まで上がっていく、教室の扉を開ける。中を見回すと、机が整然とならんでいる。
(耳の奥に響く声)
教室の後ろの壁には、同じような景色の描かれたいくつものデッサンが貼られている。窓から俯瞰された景色、すべてのデッサンの上半分は青くぬりつぶされ、校門には鞄をたすきがけにした学生服が描かれている。いつものチャイムが鳴る、窓際の机に鞄を置き、窓枠に力をこめる、つまさきが少しだけ浮く、雲のない空。
校門に立っている、またぼくは校門に立っている、頭の中で響く声
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