夏の日の幻想達 十一/soft_machine
 
る匂いが漂う
削られたことばで綴られたコバルトの詩
冷たい夏になま温かい行間

ふっと息を吹き込んで開き
逆さに振るとたなごころに
恥ずかしそうなお前のかけらが落ちてきた
他には何の文もないので飾ることにして
不思議な夢を見て
つつまれて眠る

 *

因に
うちはガスを引き込みしていない
カセットコンロに乗せるのは
薬燗とちいさなフライパン
ライターが見つからなければ
たばこや蚊遣りをあてて
髪が縮れることもある
何か遠くで蠢くものを
呼び寄せる紫の薫

 *

それは切り刻まれた空を
絵にしようとするけれど
笑っていることにふと気づく

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