夏の日の幻想達 十一/soft_machine
 
をたどり蒸溜され巣立つ

無機質の結合が瞬きにも映らぬほど素早く明滅していた
パソコンの先端で垂れ下がるアイスがにやつく唇や
坊主の大袈裟な読経が裏山に留まるつかの間
計算されるより早く物陰に伏せる

飲み干した悦びがいつだって虚ろだ

  *

ふなが糸に曳かれ水面から現れる
夕陽を受け透ける背骨にことばは
銀河をひとつその奥に秘め
回り回りながら回り続ける
ある人の愛のことば
それが私へ向けられる日を願い
星の運く方に聳える暗黒の空を見る
幸せだったのはよっつを数えるまでだった
あとは針を飲んで溶かすような青春が続き誰にもみとられず
梢がゆれるたび

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