灼熱の盆帰り/atsuchan69
 
を巡って果てしなくつづく幻影と
朱色に描かれた日の丸。その、もったいぶった陽が真上にある
多分、たった今 外気温は六十度ちかいだろう

 微かにクミン(スパイス)の匂いを嗅いだ・・・・
ふり向けば、黒いアバーヤを着た女が黙って立っている
すると彼女は、私の前で激しいベリーダンスを始めやがった
――きっと砂漠の悪霊にとり憑かれた女だ
踊りながら、「アナ、アッセフ!」をくりかえすが、
案の定、無視をつづけると突然もの凄い濁声で
「オマエは宇宙で死ぬ」と、英語で言ったのち失禁した
可愛そうなのでなぜか背広のポケットに丸めてあった
ピンク色のベルギー製ブラとタンガのセットを渡す

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