8月6日、ハムの日/楠木理沙
 
考えていた
そのまま生で食べるってのは反則だよと注意したけれど
どうやら聞こえていないようだった

額から零れた汗を拭って空を見上げると やけに盛り上がった雲が流れてきた
どこかで見たような気がして目を凝らしたが どうしても思い出せなかった 

きのこ忘れた!

突然声を上げた君は悔しそうに天を仰いでいた
そういえば一昨日見たテレビできのこがダイエットに効果があると言っていた
あの雲を引きちぎって買い物袋に入れられないかなあと言いながら
君は右手をめいいっぱい空に伸ばしていた

子どもみたいに無邪気な君を見つめていると
こんな風に二人で今日を過ごせることは本当に幸せな
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