批評について、ふたたび/岡部淳太郎
 
ことは当然であるし、またそれがなければ社会生活を営んでいるとはいえないだろう。批評を拒むということは、極端に言えば、人との交際を拒んで社会に参加せずひきこもることにも等しい。そこにあるのは独善的な自我のみであり、その世界はあまりにも狭く貧しい。
 批評をする際に作品の欠点をあげつらって批判するというのは、もちろんありうることだ。だが、その程度のことにいちいち神経を尖らせていたのでは、その時点で駄目な作者とのそしりをまぬがれないであろうし、たとえ批判であっても、より良い作品を書くための助言として受け止める度量も必要だろう。そして批評者の方は、批評することによって自らも「作者や作品と一緒に高め合って
[次のページ]
戻る   Point(14)