批評について、ふたたび/岡部淳太郎
 
っていく」という意識が必要ではないだろうか。それは前述した「批評をすることによって、当該ジャンルや自分自身のものの考え方について自己確認し深化させるきっかけを得る」ということであり、なおかつ批評文の作品化ということに留意していれば、それは当然真摯な態度で批評するということにもなる。
 たとえネット上であっても、いったん発表された作品には誰でも批評する権利が生じる(注:ただし、『現代詩フォーラム』での「未詩・独白」のカテゴリーのようなローカルルールはあるが、基本的には作品は発表された時点で誰でも批評をしていいものだと思う。)。それは言い換えれば、作品自体が批評される権利を持つということでもある。作品から批評される権利を奪ってはならない。作品は作者だけのものではないのだ。そして、作品と批評(作者と批評者)は、互いに手を取り合って成長していくことが出来る。作者は批評されることで成長することが出来るし、批評者は批評することでそれを自らの作品に返して生かすことが出来る。この作品と批評の相互作用、それがすなわち、作品の場を活性化させる最大の武器である。



(二〇〇七年八月)
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