批評について、ふたたび/岡部淳太郎
 
への理解が浅い人の中には、批評というものが作品の外にあるもののように、いきなり外部から闖入してくる雑音のように見做している人がいるらしい。批評を論じる人たちの中にも、同じく批評を作品の外部に置いて語るような論調が見られることがある。だが、批評は作品の場にある。作品と批評は同じ場所に同じ高さで並び立っているものであり、どちらが上でどちらが下などという上下関係があるのではない。作品のあるところには必ず批評があり、批評のあるところには必ず作品がある。そのように作品と批評は入れ子のように互いに影響しあっていて、その二つを切り離すことは出来ない。だから、高みに立って作品を俯瞰するような場所から批評するという
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