信念の塔/悠詩
のかすがい
粘土の壁を
意志に目覚め
気を拾っては
勇気をいだき
信念を積み上げ
一日考えては一段
十日考えては一段
「そんなんじゃみんなに先を越されちゃうよ」
「自分で自分を裏切らないかが
問題なのだ」
やがてみな
カケスの笛から背を向けだした
宝なんてありゃしない
放り投げた年月がくれるのは
天まで辿り着いたことへの栄誉だろうと
「兄さん 空にはなにもないんだって」
「それで構わない
わたしはおのれを確立したいんだ」
空の宝石も
大地の旋律も
知悉しているのに
賢者は飽くことなく
とうとう天に
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