ヘルメスとヘルマ/hon
 
は肥沃や多産の象徴であった。それが旅人を案内する旅の守護神とされ、転じて商売の神、商人に必要な能力である雄弁の神(ロギオス Logios)となっていった。
 こうしてヘルメスは多くの機能をもつ神であった。他に泥棒、伝令、叙述、策略、体育技能、天文学、占星術、眠り、夢の神などである。
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 ヘルメースはトラーキア起源の非常に古いペラスゴイ人の神である。特にアルカディアの羊飼いたちに崇められ、その役目は、彼らの羊群を見守り、彼らの小屋を保護することであった、といってよいであろう。この神の多少露骨な像を家の入り口に置く習慣が、ギリシアに起こったのも、まちがいなく、この理由によるものであった。
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