無人駅/悠詩
 


高架の上の無人駅



足元に水平線を定義
よそよそしい故郷は湖底に眠りに就く

トンネルに劃(くぎ)られた夢の通り道は
実存を奪い寒気がする
この気まずさからいつ開放されるんだろう
くたびれたひさしの下の
着飾った時刻表を見る
(ああ駅員にとってここは単なる点なんだ)
(わたしの始発駅は断章の一片)
乱数表は虫食いだらけで
夢の期待値は少し下がった

(しわくちゃの引換券)
(不在証明)

ひさしの下に男の子
手には二枚の乗車券引換券
隘路(あいろ)に心を置き去りにした瞳じゃあない
多分遠くの無人駅から来る友人の
キセルの手伝い
[次のページ]
戻る   Point(8)