トンネル/天国/書店/吉田ぐんじょう
きながらテレビを消す
でも多分どこかにあるはずだ
若者だけがたどり着ける楽園が
そこではきっと高齢化も年金も耐震偽装も
なんにも関係なくて
ただいつも美しい音楽が流れている場所のような
そんな気がする
人はそれを天国と呼ぶ
・
書店で働いていたら
狐の子供が入ってきて
わな図鑑
という本をレジに持ってきた
葉っぱのお金で払おうとするので
だめだよ
ちゃんとゆきちとかそうせきとかひでよとか
そういうのが印刷されてるお札を持ってこないと
と注意したら
でもこれはぼくのもっているはっぱのなかで
いちばんきれいなはっぱだから
とか言って
ぜんぜん人
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