トンネル/天国/書店/吉田ぐんじょう
いた女子高生が
通り抜けてってストラップになって
わたしはため息をついて
一歩踏み出す
ざしゅ
という音が反響して
羊水の中にいるみたいだった
・
屋上で高校生たちが固まって
いったい何をしているのかな
と思ったら
飛び立とうとしているんだった
白い開襟シャツの群れは
一度
二度
ためらうように手すりの上でジャンプしてから
両腕を広げてはためいてゆく
屋上には無数の革靴と
きゃんぱすのおとだけが残されて
飛び立っていった高校生たちは
それっきり戻ってこない
ニュースは高齢化高齢化としきりに騒いで
でも多分
とわたしは靴下を履きな
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