じっとりと雨に濡れた夜の草の匂い/円谷一
嫌悪感を感じながら河原に上がった 一体何を考えていたのだろう?… 中州まで行きたいような気持ちになった もう一度入って川の流れに流されまいと頑張っていたが結局辿り着くことができなかった
様々な色彩で彩られた夕焼けの空の下を商店街の光が照っていた ずぶ濡れた体ですたすたと歩いて行くと 街行く人々 特に若い男性にブラジャーの線が透けて見えるぜ と笑われた そんなことも気にせずに商店街の奥へと吸い込まれていったが 自分が何処を歩いているのか分からなくなって 真っ暗な路地の迷路の中をあてもなく歩いていった
気が付くと一軒の何語で書かれているか分からない看板の打ち込まれている店屋に着いた じっ
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