しちがつの祭り/あおば
思い出す
丁度今頃祭りがあって
派手な模様の山車を引き
大きな太鼓を引っ張って
村中をごろごろ練り歩く
神社の杜に戻る頃には
日射も落ちて
気持ちの良い風も吹いていて
しめ縄を張った境内に
ずらりと並ぶ夜店の明かり
カーバイトの匂いも漂って
お面の小父さん余裕綽々
商売で忙しいふりをする
林檎飴舐めたり電気飴にかぶりついたり
金魚すくいに小遣い叩きすってんてん
借りたお金でヨーヨー釣って切りがない
いつまで居ても叱られないし
もう帰ろうという人が居ないのだから
帰れない
歩いて帰るのだから
帰ろうと思えば何時でも帰れると
狭い境内をぐるぐると切
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)