もりおかだいち「蜘蛛の内部にて」について/葉leaf
 

 この作品は、蜘蛛の内部に関する新奇な認識を提示したものである。多層構造を持つ閃光のような認識は、読者を波状的に襲い、しかも寄せてくる波は毎回異質な輝きを放つものであり、また波が引いている間にも閃光は新たな形象として存在を続けている。 
 「蜘蛛の内部」というテーマがあらかじめ定まっているので、そこから放たれてくる詩行の可能性はおのずと限定されてくる。つまり、詩行の潜在する領域は相対的に狭くなっている。詩人はおのずと、「蜘蛛の内部」と連関する「殺戮」「糸」「魂」というモチーフに関する詩行を書くように制限されてくる。
 だが、ここからが重要なのだが、詩人にとっては、詩行の潜在する領域は、常人
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