もりおかだいち「蜘蛛の内部にて」について/葉leaf
差異は質的な差異ではなく量的な差異であり、程度問題でしかない。
さて、それぞれの詩行には、(1)静寂と、(2)詩行の潜在する領域が先行するわけだが、これらはどのように関係しているのだろうか。詩人は、詩行の潜在する領域に意識を集中させることにより、それ以外の知覚的領野に注意が向かなくなる。そのことにより、詩行の潜在する領域以外の知覚的領野が静寂に満たされるのであった。だから、静寂は、詩行の潜在する領域自体を満たすわけではなく、その外側の漠たる領域を満たすのである。
では、詩行の潜在する領域には、静寂の支配は及ばないのだろうか。結論から言うと、詩行の潜在する領域も、静寂に満たされる。ただ、
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