もりおかだいち「蜘蛛の内部にて」について/葉leaf
 
の途中に現れる詩行にも、同じように静寂が先行する。そして、途中の詩行についても、同じようにそれが潜在する領域というものを考えることができる。
 しかし、途中の詩行の潜在する領域は、詩の発端の潜在する領域よりも狭く限定されている。というのも、途中の詩行は先行する詩行とある程度適切に関係しなければならないからだ。音楽は、新しく音を繰り出す際に、それに先行する音たちとの関係で適切なメロディーを形成するように調整する。同じように、詩も、それ以前の詩行たちと適切な調和を保つように新しい詩行を繰り出していくのである。
 最初の詩行の潜在する領域は途中の詩行の潜在する領域よりも原則として広い。だが、この差異
[次のページ]
戻る   Point(9)