もりおかだいち「蜘蛛の内部にて」について/葉leaf
 
在する領域は、広く開かれている場合もあれば、一定の錯綜する領界に限定されていることもある。特にテーマもなく書き始める場合は、領域は広く開かれているが、一定のテーマに沿って書く場合には、領域はある程度限定される。
 そして詩の発端がつかみ取られるわけだが、この詩の発端からは、多種多様な可能的な詩行が次から次へと分枝して接続している。詩の発端にはいくつもの可能的な旋律が接続しているのであり、それゆえ詩の発端にはそれら可能的な旋律すべての重みがかかっているのだ。
 だが、だからといって詩の発端、つまり詩の最初の一行が、何らかの絶対的な地位にあるというわけでもない。詩の発端には静寂が先行するが、詩の途
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