感傷的な夏より?連弾する午後の夢/前田ふむふむ
 
した、
鋭いカッターで自傷したような、
空虚なひかりをあびて、――
ひかり、
うつむくひかり、ひかる、
ひかって、
反復する、重曹の泡のような夢が、
突き刺さる胸の痛みとともに、弾けた。

ここには、確かに、わたしがいる。
覚えていたわたしがいる。
手折れた源泉をなぞりながら。
ベッドはうすく湿っている。
汗は全身を夏の衣で纏い、熱い――、
          とても、熱く連弾する――。

・・・・・

暑い夜が、クラクションを上げた第七環状線を流れる。
液状化する夥しいライトの交錯。
後部シートでは、カーラジオが、DJを呼び出して、
わずかに耳打ちしては
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