感傷的な夏より?連弾する午後の夢/前田ふむふむ
 
ては、途切れる。
眼を追えば、そとは、単調な黒い光景。
草のにおいが、わずかに揺れている。

わたしは、あなたの跡を歩いていけるのだろうか。

こわばった掌を見れば、
草は、まだスケッチブックのなかで萌えている。
朝は、まだ遠い時計の秒針のなかにいる。
安らぐ暗闇の深度を増せば、
スケッチブックの、
    時計の、周りで霧雨が、
よわく降りそそぐ。
カークーラーに咳き込む、わたしに、
草のにおいが、
胸のおくを過ぎる。
夕陽のなかで遊ぶ少年の顔をして、
草は、笑う。






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