感傷的な夏より?連弾する午後の夢/前田ふむふむ
ては、途切れる。
眼を追えば、そとは、単調な黒い光景。
草のにおいが、わずかに揺れている。
わたしは、あなたの跡を歩いていけるのだろうか。
こわばった掌を見れば、
草は、まだスケッチブックのなかで萌えている。
朝は、まだ遠い時計の秒針のなかにいる。
安らぐ暗闇の深度を増せば、
スケッチブックの、
時計の、周りで霧雨が、
よわく降りそそぐ。
カークーラーに咳き込む、わたしに、
草のにおいが、
胸のおくを過ぎる。
夕陽のなかで遊ぶ少年の顔をして、
草は、笑う。
戻る 編 削 Point(33)