The Poetic Stigma/岡部淳太郎
」そのものにまでなってしまう、そんな破滅のような愉悦のような未来を、君は夢見てしまう。
ふたたび、君は歩いている。群衆の中を、他の人々に混じって君は歩いている。他の人々の背中は冷たく、彼等の会話は遠く耳鳴りの中で聴こえる。そしてまた君は悲しむ。詩であり、詩でしかありえないことのために、君は悲しみ苦しむ。そして、自らの心にこびりついた詩人の「しるし」、詩人の「焼印」がまたしても疼き出す。それはまるで古傷が痛むようなかすかな感じではあるのだが、君はたしかにそれを意識する。そして、詩でしかありえない自分を針のように感じる。君の心にこびりつき、その内部にまで根を下ろしているもの。それは詩を愛しすぎ、詩
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