置き去りカンバス/悠詩
 

コドモになるのが恐い大人

そして虚勢が文字通りになっていき
ないものねだりに自己嫌悪

ないものねだり?

それは本当にはじめからなかったの?

夢を与える振りして
興醒めした振りして

持っていたものも
持っていなかったものも
時がヒトを変えるだなんて
そんなことあなただって
思いたくないんでしょ?


  +   +



ここで翼とたてがみを得た気分になっていた時から
描き手はこの世界に別れを告げ
ひとつ上の世界に堕ちていったのかな
「忘れているから忘れ物」なんて
へんてこな理屈に頷いた時から
この世界は忘却に蝕まれ始めたんだ

[次のページ]
戻る   Point(6)