世界の終わりについて/大覚アキラ
スの通る大きい道(といっても田舎の細い道なのだが)を避けて、田んぼの中を歩いていくことにした。真冬の休耕田には人影もなく、とりあえず例の高い鉄塔を目指して歩けば、なんとか家には帰りつけると思ったのだ。
家まではまだかなりの距離があるはずだった。幼稚園に入ったばかりの妹は、乾いた田んぼのでこぼこや刈り取られた稲の根に足を取られて転びかけ、そのたびに泣きそうな顔でぼくのことを見上げていた。だが、ぼくはただひたすら妹の手をしっかりと握って、歩き続けるより他にできることはなかった。小学二年生の子どもだったぼくには、妹にかけてやる言葉も思いつかなかったし、なによりもぼく自身が疲れ切っていた。
雨
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