世界の終わりについて/大覚アキラ
 


 そして、ぼくたちは悪臭を放つ泥水まみれのまま、手をつないで歩き始めたのだ。


 ついさっき、ピカピカの自転車にまたがって颯爽と駆け下りた坂道を、汚れきった姿でのぼっていくぼくたちはきっととてもみすぼらしくてみっともないんだろうと思った。途中、お節介なおばさんがぼくたちを見て「どうしたの一体?大丈夫?」と声を掛けてきたりもしたが、ぼくは黙ったまま目も合わさずに歩き続けた。声を掛けられること自体が恥ずかしいことのように思えたし、おばさんに何か答えたら、その瞬間に涙が出てしまいそうな気がしたからだ。お願いだから放っておいてほしかった。
 人にじろじろ見られるのが嫌で、ぼくたちはバスの
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