ノスタルジア・メロウ/砂木
走り回っていたのだけれど
誰だったか ふと 小さな箱を開けて驚いた
かぶと虫のメスがたくさんいた
オスよりもメスをみつけるのが珍しかった
林檎の屑の中に 幼虫がたくさんいたのだろうか
あんなにたくさんの かぶと虫をみたのは初めてで
みんなで飼おうと うなづきあった
姉として
かぶと虫に さわらないわけにはいかなかった
オスは つのを持てばいいけれど
メスは やっぱり 横腹を掴むしかない
虫は見るのはいいけど 触るのは怖かった
掴もうとすると 飛ぶ体制に入る
メスは 横腹がすべる
でも 弟に持ってみせないのは
姉として ひく
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