電車に乗って田舎へ行こう/円谷一
 
特の匂いが心を妙に騒ぎ立てる 軋む床が深い音を立てる
 酸化した古い聖書を開くと埃が舞って匂った 多くの人が読んでボロボロに朽ち果てている
 教会を出ると僕はどちらに行こうか迷った もう夕暮れが迫ってきていて家に帰りたい気分になった
 でも鬱蒼とした森を抜けて歩き続けた 何処までこの道が続いているか確かめたくて とにかく歩き続けた
 気が付くと夜になっていて綺麗な星空が出ていた 星がこの手で掴めそうなぐらい近くにあって そこに体を休めた
 ここがどこだか分からなかった 帰り道は分かっていたけど 暖かな閉塞的な空間に身をずっと浸していたいと思った
 夢の中で君にオズの魔法使いにでてくるブ
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