Soundness/はらだまさる
 
鳥と、松林が囁く。「いいか、眼をそらすな、動物の耀きが、動物そのものが砕け、黒になる瞬間から眼を逸らすな。熱と、倫理の腐敗と、文化総体のよどみが、白と黒、左から右、西から東に並べられて、ゆびさきで弾かれ、ページがめくられ、破かれる祈りに似た、絶望、雲が雲からもげて、生成される音楽が終焉を迎える、その瞬間から、眼を逸らすな。」

大きな歌は、あまりに高音域でぼくには聴きとれない。

二十世紀のエレクトロニクスの結晶が、一台、二台、三台と遠くで重なってゆく。小さなスタジオでプラスチックを叩く。電子音。機械音。ビニールの擦れる音。非金属が金属を打ちつける音。振動する、音。水や、木や、痛みから遠く
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