抱き枕のラブソング/楠木理沙
君は いつも僕と一緒にベッドに潜り込んだ
強く抱きしめてくれて 優しく口付けをしてくれた
明け方にはベッドから落とされてしまうけど それも含めて 僕には至福の夜だったんだ
僕は君の恋人なんだって 勝手に思っていたんだ
あいつが来たあの夜から 僕は押入れに押し込められ 一人寝続けることになった
でも むしろそのことには感謝していたんだ
断続的に響く 押し殺した高い声とうめくような低い声 ぎしぎしと音を立てるベッド
僕には その光景を間近で見ることは とてもできなかったから
じゃれあう二人の幸せに満ちた声は 僕をひどく孤独にさせ 憂鬱にさせた
できるなら つけっぱなしに
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