夏祭り/悠詩
 
うしろに消える
足枷を
ひとつひとつ
足蹴にした
踏み切りと戯れたアルトリコーダーも
石段を転がっていった

「この操られ人形が」
右手が告げる
身体に突き刺さっている糸を
一本一本抜いていく
世界はどこにもなく
わたしはわたしと向き合っている

抜いているわたしは
強がって少し目を逸らせた

糸の弾ける音は
虚空と愛着の痛み分け
背骨が少しずつ
柔らかくなっていく

ふたりでヨーヨーを買って
赤いヨーヨーを買って
鎮守の森の祭囃子に手を振って
「赤の雫がふたりの宝だよ」
わたしたちはまたひとつになった

鳥居の上にフェルマーターをつける

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