想像と行動の結果/円谷一
 
走っていて 流通用の自動車の出入りが盛んなのだ そして森の中からは虫達の鳴き声が休むことなく聞こえる
 僕は君に「よし。行こう」と言って 再び歩き出した やはり森の外から早く出たいので 緑の谷底へ降りて行きたかったが それは駄目だと思って断念した 
 左に曲がったり右に曲がったりしながらやっと森を抜けるとそこは谷の底で 芝生の絶壁が何十メートルもぐるりと空間を囲んでいて 道を辿る以外上に上がるのは無理だった 僕達の背丈以上もある高い草の迷路を歩きながらどんどん絶壁から離れていった 暑かった 青臭い初夏の匂いがぷんぷんとした
 再び森の中に入ると(ここは霧がかかっていた 不思議なものだ) 池(
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