父/円谷一
 
くしてしまった
 父には15年の実刑が下され
 拘置所へは一度も面会に行かなかった
 あっさりとした裁判が終わり
 刑が確定され 刑務所に移されても
 当然の如く一度も面会には行かなかった
施設では優しい人々に囲まれて
 幸せな日々が続いていた

 歳月が流れてある日父親から
 一通の手紙が送られてきた
 私はそれを開きもせずに焼却炉の中に
 放り投げた
 それからというもの幾つもの手紙が
 届いたが 全て無視して燃やし続けた
 通信制の高校から母が私が小さい頃から
 こつこつ溜めていたお金があったことが  分かり 私は東京の大学に進んだ

 大学時代でもま
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