父/円谷一
 
人静かに片付け始めた

 会社での人間関係のストレスでそうなる
 ことは一目瞭然だった
 私が腕に青タンを作って行った学校では
 そのことでクラスメイト達がDVだと
 冷やかして私の席を囲んで
 ぐるぐる回っていた
 私は両手で耳を塞ぎ俯いて机をじっと見て 涙を流しながら青タンの傷みを
 微かにずきりと感じた
 やがて私は不登校になり毎夜
 虐待を受けながら
通信制の中学に進学することにした


 中学2年の春を過ぎた頃に
 とうとう父親は母を暴力で殺してしまった 私は施設で勉強するようになり
 悲しみや絶望が無くなった代わりに
 母という唯一の希望を亡くし
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