騒がしくなる駅/円谷一
 
駅に吸い込まれて行く
 僕は駅の構内がどうなっているか気になって想像した 様々な色の電車が行き交い 発車のアナウンスが絶えず放送される 人々が電車から吐き出され たくさんの足跡と足音を残していく
 噴水の冷気がここまで流れてきて 涼しい空気が顔に張り付き 通り過ぎていった ビルのジャングルに囲まれて 駅は凛として青空を仰いでいる 僕はこの情景を詩に書きたくなった
 都会はようやく起き出したようで 駅の前の道路を車が行き交うようになり バスも回送のものや少しの人々を乗せたものが数分おきに出て行った
 僕は朝食を食べていないことに気付いた 空腹を気にし始めると駅前の景色なんてどうでもよくなり 
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