木蓮の咲く丘で/
蒸発王
木蓮の下を探して欲しい
きっと
受信できる
きっと
熱に浮かされた夜明け
そのまま
彼は帰らぬ人となった
それから
50年
色々な人と
出会い
出会い
すれ違い
出会い
別れて行き
幾つもの
挨拶の果てに
私は一人だった
そうして
今
あの木蓮の下に立っている
真夜中
小高い丘に植えた木蓮は
小さな苗が
すらりとした若い木に
白い花をつけて立っていた
言われたままに
根本を掘る
タイムカプセル気分だった
ふ
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(7)