木蓮の咲く丘で/蒸発王
 

  木蓮の下を探して欲しい

  きっと
  受信できる


  きっと


熱に浮かされた夜明け
そのまま
彼は帰らぬ人となった









それから


50年


色々な人と
出会い
出会い
すれ違い

出会い
別れて行き

幾つもの
挨拶の果てに

私は一人だった


そうして


あの木蓮の下に立っている
真夜中
小高い丘に植えた木蓮は
小さな苗が
すらりとした若い木に
白い花をつけて立っていた

言われたままに
根本を掘る
タイムカプセル気分だった





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