木蓮の咲く丘で/蒸発王
と
柔らかな土の中に
白銀に輝く
指輪を見つけた
星のように控え目な
でも激しい
プラチナのリング
(木蓮の花は)
(宇宙を受信し)
(星々からプラチナを採取している)
だから
(何か 大切なものを守るようで)
(とても愛おしい)
花を見上げると
白い花弁は
完全に開ききって
敢然と宇宙を受信していた
もしもあの星の一つが
彼
であったなら
このプラチナは
彼の言葉の意味は
愛おしい
50年越しの告白を
左手の薬指にはめる
私の答えを
伝えようと
滲んだ視界で彼の星を探す
私の目は
塩水をふくみ
あの星の負けないくらい
輝いているはずだ
光を受けて
この木蓮の咲く丘で
彼の愛した花と共に
きっと
私たちは
繋がっている
きっと
受信している
『木蓮の咲く丘で』
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