花/わら
 
その花には名前はなく


道の隅に ひっそりと咲いていた





それをみつけた きみは

その花に名前をつけた




その花は、あたらしい「いのち」を与えられた




雨の日も咲き誇り

風の日も折れなかった





通りすぎる人たちは
それに気づいていたのだろうか



ぼくは何度か、その花をみかけた

きみがみつけた、その花を







やがて、その花は散ってゆき




だけど、それは
いのちを与えられたことを忘れなかった







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